鳥の影

すいと飛んでゆく鳥に
せつな記憶を奪われて
うつろな目で見上げれば羽
光の中へとけていく

あいつが何億光年も先へ
飛んでゆけるはずはないのに
どうしてそれほどの闇の中に
立ちすくんでしまうのだろう

あんなにも遠く地上から
影を踏むこともできないはばたき
私の呼びかけも願いも声も
あいつは聞かないし聞こえない

風を切る音だけが音で
空の青さだけが色で
私はただ何もいらないと笑って
すべてを手にいれたいばかだ